【創作小説】あてもない旅〜序章〜
今日も夢の中で旅をしていたような気がする。
いや、旅をしていたのだ。
白い雪のしんしんとつもる雪の原のなか、ぽつぽつと歩くわたし。
1本の先の見えない道だけが続く野原だが、何かがおかしい。
そう、雪のように見えていたのは白い綿毛?いや、虫だったのだ。
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私は、潮さい高校2年の高校生だ。
目を覚ました私は我に返る。
「ああ、夢だ。夢だったんだ」。
背筋も凍るような雪の虫。
しんしんとふりつもる、真っ白な虫。
総毛立つかのように思い出される虫、虫、虫。
この頃こんな夢が多いように感じる。
現在の時刻は0時ちょっとすぎた頃だ。
外は夢と同じく雪がふりつもる夜の音。
これも夢だったとしたらどうしようか。
そうしばらく床の中で思案する。
いや、そんなことはない、私は自分に言い聞かせた。なぜなら、自分は今移動していない。
移動していることが私の夢の中の条件だ。
そうこうしているうちに、私は再度夢の中へ落ちていったようだ...。
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こーんこーんこーん
なんの音だふと、振り返った私は、白い雪の虫が降る野原に立ち尽くした。
まっしろな白いキツネがいるではないか。
白いキツネは、小さいながら健気に虫の残骸をかき分けこちらに近づいてくる。
まるで、私が親であるかのように。
なつっこくて可愛らしい。
こーんこーん
キツネは鳴き、ひときわ大きな声で鳴くと、私のそばでパタリと倒れた。
私は驚き、うろたえる。
息を確認する。
大丈夫。
息をしている。
よかった...
私はこのキツネを虫の中からスっと持ち上げ歩き出した。温かで安全な場所へ向かおう。
そうすれば目を覚まし元気にまたすり寄ってくる。そう願って。