book.10nchan...本のやしろのなかへ.

本や漫画小説を読んでいくブログです。伝統文化や興味のある分野の発信も随時行います!短編小説も書いていきます。よろしくお願いします。It is a blog that will read books and manga novels. We will also send out traditional culture and fields of interest to you at any time! Thank you.

【手のひら大人絵本】クリスマスの夜の白い花

りん…りん…りーん

どこからか鈴の音が聞こえてくるようだ

それはまるで自分を呼んでいるかのようになり続けている

 

りん…りん…りーん

 

ふと思い出す

アレはいつの頃だったろう

そう、小さな頃の思い出だ

5歳ごろだっただろうか

物心ついた頃の年齢だったとこは覚えている

 

翌る日に迫ったクリスマス

その日はシンシンと雪の降り積もる夜

布団の中でドキドキと高鳴る胸の鼓動を感じていた

 

サンタさんを今年こそ見る

そう誓って

 

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りん…りん…りん

 

いつの間にか微睡の中

その時が来た

はっと目を覚ます僕

僕はついにサンタさんの乗る

雪の上を滑るソリとトナカイの息吹きの音と鈴の音を聞いたのだった

 

りんりんりんりん…

 

窓を大きく開け、サンタさんに挨拶する

「サンタさん!こんばんは‼︎」

その僕の声に応え高らかに

「merryXmas」

トナカイのひくソリには大きなプレゼント小さなプレゼントの山

そのソリに乗った一際優しい笑顔をし微笑んでいるサンタのおじいさん

 

サンタさんは本当にいたのだ

僕のうちにもやってきたのだ

毎年プレゼントを枕元に置いてくれる大すきなサンタさん

そのサンタさんに会えるなんて…

 

僕は大興奮

 

お父さんかお母さんが準備してると思い込んでいた僕のリアルな現実

 

それが覆された瞬間だった

それは僕に更なる夢を与えてくれたんだ

 

サンタのおじいさんは僕に手を差し伸べ

ソリにのせてくれた

 

僕は頷く

サンタのおじいさんはより一層優しく微笑む

 

「さあ、出発しようではないか!夜風にあたらないようにな」

 

白い息はく僕とサンタのおじいさんを乗せたソリは

空にかける

 

雪の結晶が弾ける夜空

半透明な夜の闇の中に煌めく星ぼし

そのなかを軽かなリズムを奏でながら

鈴の音はかけていく

 

りん…りん…りん

 

走れソリよ風のように空高く

 

そんな歌を口ずさみながら

 

走れソリよ天高く

 

僕も一緒に歌い出す

 

高らかな歌声に

心躍る僕と

その隣のサンタさん

 

地上がキラキラと輝く街のネオンと家の明かり

天空に高く高く登った僕らの乗ったソリ

それを引くトナカイ

 

夢みたいだ!

 

僕は強く思う

 

「さあ、そろそろクライマックスだ」

サンタのおじいさんは優しい声で僕にいうと

僕に温かな光の粒に包まれたそれをくれた

 

僕の手の中で身動きする

小さなちいさな雪の妖精?

 

いや、可憐な花の妖精?

 

そう、それは僕の見たことのなかった

遠い遠い遥かなる地に咲いていると言われている

生きる雪の白い花の妖精の赤ちゃんだったのだ

 

「サンタさん、僕、こんな素敵なプレゼントは…もらえません」

 

サンタのおじいさんは答える

「そう思うのかね?いや、君には必要なはずだ!

その雪の白い花の妖精は、君をこれからもずっと見守ってくれる

素敵な仲間となるだろう」

 

「だから、貰ってくれるかい?」

僕は初めて見たこの可愛らしい雪の花の妖精を

手の内に秘めながらこくりと頷く

 

僕は、心まで温かくなるような

そんな幸せに包まれながら

 

目を閉じた

 

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そんな思い出

素敵な聖夜の思い出