【創作小説】希望と彼方の夢1
ある時気がついた
この夢はいつ終わるのだろうかと
ずっと前から見ている気がする
そんなほのかな現実ような夢の話__。
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スーーーと進む新幹線の車内
私はこの日、新大阪行きの新幹線に乗っていた。
隣の席には見飽きるほど隣からみてきた私の夫のカナタ
車内はゆったりとした空気が流れる新幹線
その新幹線は測らずとも私の名前と一緒だった。
私の名前はノゾミ
この新幹線には愛着があった。
昔から私と共にあったこの新幹線が私は大好きだった。
小さなころに父親に教わったこの新幹線の名前への衝撃は
その当時の記憶が思い出せるほど鮮明に覚えている。
「この新幹線はね『のぞみ』というんだ!ノゾミと同じ名前なんだよ」
そういって父親は微笑んだ。
私は嬉しいのか驚いたのか誇らしいのかでなんだか衝撃を受けくらくらした。
まるで電光石火の雷みたいな速度で私は撃ち抜かれ、一瞬にして新幹線『のぞみ』に恋をした。
目の前に火花が散り弾けた。
そんな新幹線の中で隣り合わせになり知り合い意気投合したのが夫のカナタだった。
カナタは名前の通りはるか彼方にいても私の姿を見つけ出せ、声だけで私を認識できる。そんな素敵な人。
もちろん、新幹線『のぞみ』の姿かたち、音も見て聞くだけで判別可能だ。
私を愛しているのか、新幹線を愛しているのか、そんなこと関係ない。
私も『のぞみ』に恋しているから。
父親から教えられた一度だけの経験からではありえないという人もいるだろうが
実際私はこの新幹線を大好きになったのだった。