手のひら大人絵本
私は歩く 真夏の空のもと ザクザク と音は響く 白砂はまるで私を誘う 囁き 星月夜で光を浴び 騒めき そして 桜貝 は 眠りにつく 砂のうちで 私の 夢の中で
シーンと静まり返る 部屋の中 私はいる 静かすぎる静寂に 私は飲み込まれる 窓の外には 広く広くひろい 大海原 ひろい海に 大きな黒い影 鯨だ 大きな大きな 黒い影が 海の中にいる その気配に 私はみじろぎして 震え怯える 恐い そう思うと同時に 想う 鯨は …
ふんわりと香るハーブの香り そこに混ざるスパイスの香り そして少しの香ばしい香りが 会堂の中に充満する まるで私たちを歓迎するかのような この香りは初めて匂うような 真新しい感覚を呼び起こす 会堂の中には何列もの机と椅子が横一列に並び その机の上…
どん… どん…… どん…どん…どん… どんどんどん……シャララン! …白いぃ花がぁ咲ぁいた。 …梅ぇの花ぁ咲ぁいた。 どこからともなくキコエテクル。 …鈴の音と お囃子に合わせて… …どんどん シャララン どん シャララ… どこか恐いような 澄んだ透明歌が真っ暗な湖…
りん…りん…りーん どこからか鈴の音が聞こえてくるようだ それはまるで自分を呼んでいるかのようになり続けている りん…りん…りーん ふと思い出す アレはいつの頃だったろう そう、小さな頃の思い出だ 5歳ごろだっただろうか 物心ついた頃の年齢だったとこは…