【小説】空棺の烏(あらすじ・感想①)阿部智里
阿部智里『八咫烏』シリーズ第4弾ここに開幕!!!!
〜序章のあらすじ〜
宗家の近衛隊、山内衆(やまうちしゅう)の養成所、勁草院(けいそういん)は、15歳から17歳の男子が「入峰(にゅうぶ)」するところである。その勁草院からこの物語は始まる。
ーーーおい、聞いたか。今年は、とんでもない化け物が入って来るらしいぞ。
そんな噂が駆け巡るもうすぐ新入りが入って来るという当日の朝。化け物とは何か。腕が立つという意味なのか。
「それはわからないが、どうも大貴族の御曹司らしい。今、勁草院にいる誰よりも身分が高いのは明らかだ」
その噂に、納得する面々。
「ここ最近、中央出身の奴らが落ち着かねえと思ったら、それが原因か」
「下手すりゃ自分のお株を奪われちまうもんな」
「下手しなくても、あいつらが今までみたいに威張り散らすのは無理だろうさ」
もとより、身分を笠に着るしか能のなかった連中だ。自分たちより格上の新入りが入って来るとしたら、今度は彼らの方がご機嫌伺いに奔走するようになるだろう。
そんな、仲間たちの会話を、市柳(いちりゅう)は、まにうけずむしろ馬鹿にする始末である。そんな市柳をみた仲間たちは、先輩ぶりたいのであろうと解釈する。
加えて新たな情報「若宮の近習」であるということを耳にした市柳たち。しかし、疑問が生まれる…。なぜ身分が高いのにもかかわらず、その生まれに応じて官位が与えられる『蔭位の制(おんいのせい)』を使わなかったのだろうか。否、腕っぷしを若宮に買われたからでは?という憶測。
大貴族の坊ちゃんで、若宮の近習。
高貴な血筋から、そのまま官位につくことも可能だったのに、あえて勁草院にやって来る新入り。
そのキーワードに市柳はある1人の少年の顔を思い浮かべる。嫌な予感を感じる。ーーーと、いうのも、その少年に、市柳は嫌な記憶しか持ってなかったからである。
そんな折、新入りが来たという知らせがはいる。あれあれ、市柳の思った人物ではない。
ほっと胸をなでおろす市柳。
しかし市柳の嫌な予感は本当のものとなる。
まさかの、その人物が現れたのだ!!!
その人物は、市柳の根城といってもよい自室で共同生活を送ることになったのである。
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市柳
なぜ、若宮の近習であった雪哉をここまで嫌っているのだろうか。
雪哉
能ある鷹は爪を隠すで生きていたように感じた。しかし、市柳に何をしたのだろうか。という疑問が湧く。
茂丸
優しくて、強いイメージ。礼儀正しい。
ますほのすすきの弟の情報と雪哉の情報が、混ざり合って入ってきた。そのため、市柳の嫌な予感はより一層嫌な気持ちになるように市柳の願いを裏切る形で設定されたといってもよいのではないだろうか。