【小説】烏に単は似合わない(あらすじ・感想)阿部智里
数々の疑問が花開き、思惑が支配する
桜花宮のそのなかで
いまここにバトル始まる!!
*阿部智里2012年デビュー作『烏に単は似合わない』
※このあらすじ・感想には、ネタバレが含まれています。
~あらすじ~
人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」で、世継ぎである若宮の后選びが始まった。朝廷で激しく権力を争う大貴族四家から使わされた四人の后候補。春夏秋冬を司どるかのようにそれぞれ魅力的な姫君たちが、思惑を秘め后の座を競う中、様々な事件が起こり・・・。史上最年少松本清張賞授与作。 解説・東えりか
「この人がいい、と思ったのは、私がまだ五つか六つのときだった」。
とてもすばらしい風景描写がうまく描かれており、美しい景色が目に浮かぶようです。そんな『烏に単は似合わない』では、様々な人物像があらわになっていくストーリー展開で、「春・夏・秋・冬」の季節に名前がわかれた殿が登場します。そこでは、各家から登殿した姫君が暮らし、若宮の来訪を心待ちにしております。事実、若宮に気に入られた暁にはその姫君は入内することができ、家の繁栄、政治的権力を手に入れることができるのです。
とはいうもの、それぞれの家には思惑がある。どうしても入内する必要に駆られる姫から、自分こそはと心躍らせる姫、若宮に恋い焦がれる姫。三人一様である。
なんとも悲しい冬。
なんと、めぐってきた再びの春で大どんでん返し!!?
全てをひっくり返す本当の春が来たのだ
「あせびも、浮雲殿もー彼女らの幸せが、他人を不幸にするものではなかったら良かったのにと、そう思っている」。
*この本を読み終えて
えええええ~・・・なんなんだ!!!この本は?!!
ひええという言葉が口から零れ落ちる。。。
本当に何なんだ??!
「ふふと漏れる笑い」「ぞーとする気持ち」「びっくりさせんなよ」「大好き」とともに読み進め終えたこの本は、いったい何なのだろう。幾重にも張り巡らされた罠にかかったねずみとなった気持である。
ああ、「あせび」よ。名前道理の姫であったのか?君は複線であったのか?という心境。
ずっと、あせび目線、四家四様の姫君たちの目線で、これまで紡がれてきた物語が、はたと違う目線から描き出されたとき、新たな物語が歩き出した。それは、若宮の目に映る物語である。
ぜひ皆さんもこの本を見かけたり、手に取る機会がありましたら、目を通していただけますと大変喜びます。^^
最後までありがとうございました!