つぎのおはなし
わたしたちは、みんな
命を燃やす
その光は燃える光は瞬。
一瞬の隙を突いてくるようなものである
そう。そのものだ。
紅をひくそのてを留めて。
千代の山はおもう。
千代の山は、山代さん姐さんの妹舞妓だ。
千代の山は、自分の名前を気に入っており、山代さん姐さんを慕っている。
千代の山は、この度4月に山代から出てきた。うら若い舞妓のたまごだ。
赤い赤い木のイチゴのような唇に、白い雪をまぶしたかの様な白い頬に朱がさす頬をしている。美しくも儚く可愛らしい舞妓、半玉さんだ。
つい先日、舞のお師匠さまに、見初められ、舞妓の見習いになることができたのだ。
あついあつい、夏の宵山だった。
「あんた、おいどがまだまだだね」
そう言われた頃が懐かしい。
そんな舞のお師匠さんも、80になる。
お母さんにも、お師匠さんの声は届いたみたいで、あたしは、晴れて舞妓の見習いになることができたんだ。
そんな、あたしは、今は半玉さん。
仕込みをへて、今に至る。
苦しい苦しい仕込みの道を、ひた走り、自分を磨いてきたんだ。
千代の山は、その名の通り、さざれ石のようにちいさな、石たちのあつまりのこと。
山代さん姐さんから、教わった。
お母さんは、同郷の、山代の出身の山代さん姐さんを据えてくれた。
わたしは、ここにきて良かったとおもう。